包丁ができるまで
包丁ができるまでの工程
包丁ができるまでの各種作業について紹介いたします。
①生地の準備
当社では包丁の研ぎを行っているため、鍛造・焼き入れは鍛冶屋さんにお願いしています。
一丁ずつ手作りで鍛造するため、お客様の好みの型に仕上げることが可能です。
②荒研ぎ
まず包丁の刃に当たる部分を、洗い円形砥石で削っていきます。研ぎ棒を使い、力が均等にかかるよう注意します。次に包丁の平の部分を研ぎます。
※円砥は水槽の上で回転し、常に水を含んだ状態で使用します。これは摩擦熱で包丁の焼きが戻るのを防ぐためです。
③歪みとり
鍛冶屋さんから出来上がってきた包丁は、捻れていたり、歪んでいたりする場合があります。この状態ではきれいに砥石が当たらないので、ハンマーで真っ直ぐになるよう修正します。
④羽衣あて
この工程は、荒研ぎが終わった包丁に、羽衣を使って、より細かな目の表面にする作業です。羽衣(ばふ)とは、円形の布を多数重ねたものに、金剛砂という砥石の粉末を接着したものです。微妙な硬さとしなやかさがあるので、包丁の面に均等にあてることができます。
⑤木砥あて
羽衣あての終わった包丁に木砥を使ってさらに表面を磨きます。木砥(きど)とは杉の木でできた回転砥石です。この木砥を使って、包丁の裏と平の目を通し、落ち着いた艶を出します。
この仕上げの仕方が、堺の包丁の特色と言えます。
⑥仕上げ
裏押しを主とする仕上げ方法で刃物を仕上げていきます。裏押しは角砥石を使って裏を平にし、刃持ちがよくなるように加工します。仕上げの方法は3種類あります。それぞれの刃物に合わせた仕上げ方法を選び行います。仕上げの方法について詳しくは『仕上げの種類』をご覧ください。
⑦柄付け
仕上がった包丁に柄を取り付けます。中子をバーナーで熱して焼き混んで取り付けます
。柄は、手に馴染みやすい朴(ほう)の木を主に使用しています。
水牛のツノの口輪のものは、使っているうちに口輪が締まっていくので、包丁が抜けにくくなります。
⑧銘切り
銘切りは鏨(たがね)を使って彫ります。包丁の名前だけではなく、お客様の名前を入れることも可能です。
仕上げの種類
仕上げには様々な方法がありますが、主に以下が使用されます。
裏押し
角砥石を使って片刃包丁の裏を平に磨き上げる方法です。裏押しをすることで、切れ味が長持ちする他、切った時に食材が張りつかないようになります。
きわ引き
刃の地金部分を、砥石と一緒に使用することでスムーズに研ぐことができる金剛砂を使い、縦目にして、シノギの線をよりくっきりと艶やかに際立たせます。
化粧研ぎ
刃全体を、上引きという砥石の粉で擦ることにより、地金部分のみ霞がかったように白く曇った仕上がりになります。こうすることで、刃の部分がより輝きます。